逃走 / escape.
2021
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暮らす街から抜け出して遠方へ足を運び、人のいない場所を選んでは自分がそこにいることを夢想する時、私は決まってカメラを持っている。そこで見つけたモノを撮影し、現像とプリントを行う一連のことは、カメラを隔てた被写体と私を考えることだ。被写体の持つ不測の要素に惹かれた私自身を見つめ直し、その不測の要素とは何かを発見する作業であり、そして私が何から逃げ出して来たのかに気づく過程だ。ファインダーを覗きシャッターを押してすぐの風景から切り取られたばかりの画像が、色を抜き取られ、紙という媒体に落とし込まれてモノとなるまでの濾過を経て、最後に残ったものは何かを知りたかった。友人や虚栄、過去と喧騒から逃げた先で、私は撮ることから逃れられない。逃走にて、追うものとは自分自身だ。
暮らす街から抜け出して遠方へ足を運び、人のいない場所を選んでは自分がそこにいることを夢想する時、私は決まってカメラを持っている。そこで見つけたモノを撮影し、現像とプリントを行う一連のことは、カメラを隔てた被写体と私を考えることだ。被写体の持つ不測の要素に惹かれた私自身を見つめ直し、その不測の要素とは何かを発見する作業であり、そして私が何から逃げ出して来たのかに気づく過程だ。ファインダーを覗きシャッターを押してすぐの風景から切り取られたばかりの画像が、色を抜き取られ、紙という媒体に落とし込まれてモノとなるまでの濾過を経て、最後に残ったものは何かを知りたかった。友人や虚栄、過去と喧騒から逃げた先で、私は撮ることから逃れられない。逃走にて、追うものとは自分自身だ。